こんにちは!看護師兼ライターの白石弓夏(しらいしゆみか@yumika_shi)です!
看護師として病院やクリニック、施設等で働いていると誰もが経験するのが患者家族からのクレーム。
看護師は特にクレームの窓口になりやすいのではないでしょうか。
こちらに明らかな不備があったならまだしも、ときには理不尽なことや感情的に罵られることだってあるかもしれません。
若い看護師であればあるほど、
私がまだ未熟なせいで…
看護師向いてない、看護師辞めたい…
と思ってしまう人も少なくないと思います。
そんな、看護師の人生までも変えてしまうであろう患者家族からのクレーム。
私が実際に経験したこと、どのように乗り換えたかをまとめました。
※個人情報保護のため、内容は一部改変してあります。
患者家族への対応が厳しかった小児科時代
よく小児科出身であることをいうと、
家族対応とか大変そうだね…!
と言われることがあります。
まさしくその通りで、私は新卒から小児科配属だったため、特に家族対応は厳しく指導されました。
それはなぜか…
元々が家族付き添い制の病棟であり、入院している子どものほとんどに家族が付き添いをしていたからです。
子どもは病気でぐったりしていても、家族は健康…。
そのため、「スタッフの行動や言動に敏感になりやすい、小さなことでも気になるから、特に気をつけるべき」と言われてきました。
一般的な接遇マナーはもちろんですが、家族に労いの言葉、誤解のないような言葉選びと態度、ときには育児の相談に乗ることもよくありました。
(他科でも当たり前なことですが、常に家族が付き添っているというのが、小児科ならではだと思います)
そんな環境であっても、実際には患者家族からのクレームは発生します。
先輩であっても同期であってもそれは同じ。
しかしながら、小児科にいた時の私は、一度も自分に対するクレームを受けることなく、4年間を過ごしました。
初めて患者からのクレームを受けたのは看護師6年目
成人病棟に配属になって1年が過ぎた頃。
ある程度仕事にも慣れ、リーダーやシニアプリセプターのような役割をしたりと、中堅的な立場で仕事をしていました。
バリバリ働ける看護師だったかは、自分ではわからないですが、患者家族からの評判はそれなりに良かったと思います。
退院の日に手紙をもらったり、通院で私の所に顔出しに来てくれたり、それなりにありました。
そんな時に、初めて自分に対するクレームを受けてしまいます。
私が夜勤で勤務していた時のこと。
術後の患者さんでした。
その患者さんの担当は初めて。
夜勤では術直後であったため、実際に麻酔が覚めて会話ができるようになったのは、消灯間際。
いつも通りに術後観察のルーチン、夜間の鎮痛剤使用など確認しましたが、
いらない、大丈夫。
と返ってきました。
それほど大掛かりな手術ではなく、傷も小さいもの。
普段からも鎮痛剤を使用しないで朝まで経過する人もいたので、そのまま部屋を後にしました。
夜間も2〜3時間ごとに巡視、術後の観察等行いましたが、特に問題ありませんでした。
一度だけ、夜間の点滴更新が遅くなってしまい、患者さんからナースコールがあったのみ。
その時は、「遅くなってしまい申し訳ありません」と、きちんと謝罪しました。
そして、朝方に自分の中では予想外の事態が起こります。
朝の採血で対応し、止血のために紙テープを貼ったところで、
なんだ、この貼り方は!採血の後にこんな風にテープを貼られたことはないぞ!
と感情的に言われました。
カットガーゼで圧迫し、紙テープを貼るというのは、普段から行なっている処置なのですが、それが気に食わなかったようです。
私も初めてこのようなことを言われたので、驚いてしまいました。
クレームを受けて私がとった行動、考えの変化
まず謝罪、患者さんからの訴えを聞く
それでも私は、まずは謝罪をし、
「採血の後は止血のために適度な圧迫を加えないと再出血してしまうこと」
「紙テープで固定して数分後、止血を確認できたら、小さな絆創膏に張り替えること」
と状況の説明をしましたが、なんとなく腑に落ちない様子。
そして、夜間のことについても追い討ちをかけるように言われました。
夜、点滴が遅れたのはおかしい。なぜ自分が点滴のことでナースコールで呼ばなきゃいけないんだ。しかも、夜は傷が痛くて眠れなかったのに。
(私が巡視した時はいびきかいていたのですがね…)
この時点で再度、「ご不便をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」と深く謝罪をし、患者さんの話の聞き取りをしました。
私からは、点滴が遅れてしまったこと、鎮痛剤についての配慮が足りなかったことを伝えましたが、それでも納得していなかったようです。
私の人的要因だけではなく、術後のさまざなストレスなど環境要因が重なったこともきっかけにあったかもしれません。
クレーム対応後にすぐに上司に報告、相談
私がこのまま対応しているとまずいことになりそうだと思い、一旦その場を離れ、リーダーに事情を説明。
8時過ぎに出勤した師長さんに報告。
もしかしたら、投書や直接師長さんへクレームを言ってくるかもしれないことを伝えました。
すぐに朝の患者ラウンドで師長さんが謝罪してくれましたが、その際にも同じことを感情的に言われたとのこと。
入院して来た時はそんな風に感じなかったけど、気難しい感じ。術後で身動き取れなかったから、そのストレスが爆発したみたい。よく一人で対応してくれたわね、お疲れ様…
と、同情的な言葉をかけられました。
一応、クレーム対応ということでレポート報告は書きましたが、私の対応については注意を受けることなく、その後も特に師長さんには怒られることはありませんでした。
多分、クレーム対応としてはそれほど間違っていなかったと思います…。
自分の看護を否定されたように感じ、怒り、落ち込んだ時期
初めてのクレームだったこともあり、やっぱり落ち込みました。
その患者さんと同室だった別の患者さんからは、
あの人、すごく細かくて面倒な人みたいだから気にしない方がいいよ。
と言われ、慰められる始末。
先輩からは、
大丈夫だよ〜!元気出して!
と励まされ、ご飯に連れてってもらったことも。
…泣ける。(悔しいから泣かないけど)
自分の中でも、いつも通りのはずだったのに、何がいけなかったのだろう…と自問自答を繰り返すように。
また、患者さんの顔を思い浮かべては、理不尽な言い方に悔しくて、ムカつくこともありました。
看護師として頑張ってきたことも否定されたような感覚…。
今でも、その時のことは思い出します。
クレームを受けることは辛いけど、自分を見つめ直す機会に
少し時間が経ってから、冷静になり…ふと「少し調子に乗っていたかも」と感じました。
仕事もそれほど怒られることもなかったし、不自由なく順調にやれていた…と思っていたので、自分の気づかないところで態度に出ていたかもしれない。
もしかしたら自分を見つめ直すいい機会かも…と思うように。
患者さんのクレーム自体は一部理不尽な内容もあったかもしれないけど、やっぱり自分にも非がある…
声かけが十分ではなかったことや、アフターフォローも甘かった、言い訳っぽかったかもしれない。
謝罪のときに患者さんの話を全て聞こうしなかった、患者さんは何を求めていたのだろう…などなど。
そこはきちんと受け止めて、今後に生かさなければ…と思いました。
クレームを全て自分の中で消化するのはなかなか大変だけど、
「全て受け入れなくてもいいじゃん!」
「整理して、一つずつクリアすればいい!」
「患者さんだって、病気や手術の影響で感情的になってしまった部分もあったんだろう…」
と考えると、なんだか自分にも患者さんにも素直になれた気がしました。
悪意のある患者からのクレームには正面から戦わない
なかには悪意のあるクレームや理不尽極まりないクレームもけっこうあります。
特に若手看護師のときは、その被害に遭いやすく、そのせいで心折れてしまうかもしれません。
いくら患者さんだからといって、何をしても全て許されるわけではないです。
たまに「お客様は神様」精神が病院でも浸透しているところもありますが、それはおかしいと思っています。
このあたりは上司の考え方や対応によってかなり左右されますが、あまりにひどい場合には主治医や事務長などが出て来て強制退院なんてケースも。
私がいた病院では患者さんの自主性を大切にするところだったので、陰湿なセクハラやパワハラ、クレーマーなどはかなり強気に対応してくれていました。
それでも、悪質なクレームがたとえ自分に向けられていたとしても、全て一人で抱え、対応しなければならないということはありません。
看護師が患者さんの言動に振り回されることは、よくあることだけど、
自分の心は自分にしか守れないのです!
* * *
同じく患者家族からのクレームで悩んでいる人。
なんでも自分の責任と思わず、周りに助けを求めること…
客観的に状況を判断できるような余裕を持ってほしい…
自分なりの心の整理の仕方、落ち着かせ方を見つけてほしいと思います。
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